「幸せな人、豊かな人というのは、恵まれた星のもとに生まれている人。それに比べて自分は…」なんて、ため息をつきたくなることってありますよね。
確かに、資産家の両親のもとに生まれて、生まれながらにたくさんのお金と素晴らしい金融教育に恵まれることのできた「生まれながらの富裕層」という人たちは、数こそ多くないものの、ある一定割合存在します。
けれど私の知っている限り、ごくごく一般家庭に生まれて、そこから自分の力で成功や経済的な豊かさを実現させた人というのは、ほぼもれなく、一度かなりストレスフルな環境を経験し、それをプラスに利用することでスピード感のある変化を生み出してきた人たちです。
もちろん、避けられるストレス・不要なストレスはどんどん回避していくべきですが、それでもストレスを完全にゼロにするのは、人間なかなか難しいものです。
しかしストレスって、決して悪い面ばかりではないんです。
生きていく上でストレスを避けられない以上、ストレスの良い面を知り、積極的にプラス転換していく方が、何倍も得だし、むしろストレスがあるからこそ、人生に大きな変化を起こす事って可能なんです。
今回はそんな、ストレスのメリットについてのお話です。
これを知ることで、ストレスに対する見方がまるで変わり、現状に対するあらゆる負の感情を、あなたの人生を大きく変える起爆剤へと転換することができるようになります。
歴史が証明している、ストレスの偉大なメリットとは?
よく誤解されがちなのですが、ストレスのメリットを知ることやプラス転換というのは、「何事も前向きに捉えろ!」といった単なる精神論やポジティブ思考などではなく、実は人類の歴史こそが、その有益性と効果の凄まじさを証明しています。
私たち人類は歴史の中で、いくつもの技術革命を経て、大きく成長してきました。
中でも最も有名なのは、産業革命です。
18世紀半ばから19世紀にかけてイギリスで起こった、蒸気機関の発明に始まる一連の工業化革命です。
工業化や交通機関の発達により、経済は大きく成長し、人々の生活や働き方も大きく変化しました。
こうした産業革命は、人類の歴史において何度も繰り返し起こってきています。
近年では、IT革命などと呼ばれるインターネット社会の発達も、その一つになります。
そして産業革命よりもさらに大きくさかのぼって新石器時代、人類が食料の調達手段を「狩猟・採集」から「農耕・牧畜」へと移したのが、農耕革命です。
農耕革命によって、人類は食料生産を「計画的に行う」という手段と概念を得ることができました。
そのおかげで人々は食料に困ることが格段に減り、生活スタイルも移動生活から定住生活へと変化します。
さらに、余った食料を他者と交換する行為から経済活動が始まり、やがてその利便性を高めるために、お金が誕生することになります。
これが、貨幣経済の始まりです。
お金という価値交換ツールの発明により、経済システムは爆発的な発展を遂げ、その中で様々な技術や商品が生み出されました。
その流れの中で急速に発展してきたのが、イギリスをはじめとする西欧列強であり、アジア・アフリカ諸国は西欧諸国の植民地となり、長く支配されてきました。
しかしそもそもなぜアジア・アフリカ諸国は、西欧列強に対抗できなかったのでしょうか?
技術格差の要因は、両者の環境におけるストレス量の差だった
その最も大きな要因と考えられているのは、なんとアジア・アフリカ諸国が「恵まれた環境にあったから」ということなんです!
さて、ここで思い出してほしいのが、農業革命が起きた理由が、狩猟採集といった手段のみでは「安定的な食料確保が難しかったから」だったこと。
温暖で湿潤な気候と広い国土面積にめぐまれたアジア・アフリカ諸国は、なにも必死こいて農耕技術を発展させずとも、食料の確保が比較的簡単にできたんです。
無理に技術革新を起こさなくても、人々は「そこそこ豊かに」暮らすことができていたんですね。
けれどその一方で、環境に恵まれていたからこその弊害もありました。
アジア・アフリカ諸国ほど国土や気候に恵まれなかったヨーロッパ諸国の人々は、何か新しい技術を生み出さないと、そもそも生きていくことすら難しかったため、必死になって技術を向上させ、経済力や軍事力を上げることに全力を注がざるを得ませんでした。
しかしアジア・アフリカ諸国の人々は、現状のままでもとりあえず生きてはいけるので、技術面での進歩がどうしても遅れがちになります。
その差が数百年という時を経て、支配する側と支配される側という、痛烈な結果を生むことになったわけです。
現在も続く経済格差に見る、ストレスが人に与えるメリットの凄まじさ
そして植民地支配が終わった現在となっても、世界はその差を完全に埋めることは未だにできていません。
食料確保の難しい環境下で、技術革新を起こさざるを得なかったヨーロッパ諸国と、食料確保の条件に恵まれた環境に満足して、学びや変化の速度を緩めた国々。
現代でも両者の間には、大きな経済格差があります。
技術革新や経済成長の差という面から世界を見た時、環境ストレスが人に与える影響の強さがそれだけ凄まじいことを、現状の経済格差が物語っているわけです。
ストレスは心身への負荷という面ではデメリットに相違ありませんが、進化・発展・成長という面では、非常に大きなメリットを持っているんです。
一流選手たちは、ストレスのメリットをよく理解している
そして人間の本質的な部分って、時代や分野が違っても、実はそう変わるものではありません。
大満足というわけではないけれど、現状のままでも「まあいっか」と思った時点で人の成長は止まるし、現状に大きな不満や危機感があれば、そこを抜け出すために成長・変化をどんどん起こしていくしかなくなるわけです。
例えば日本で大きな実績を出したスポーツ選手たちが積極的に海外へと出ていくのは、この成長の原理を彼らが理解しているからです。
普通に考えれば、そのまま日本で活動していた方が周囲からもちやほやされ、最高に恵まれた環境下で快適に練習やプレーをしていけるはずです。
しかし海外に行けば、環境は一転します。
日本でスター的存在だった選手であっても、海外チームに入れば、そもそも試合に出られるかどうかすら危うい、非常に厳しい状況下に置かれることになります。
試合に起用してもらうため、監督やチームメイトに実力を評価してもらい、信用を勝ち取るところから再び努力していかなくてはならないわけです。
それなのに、なぜそんな恵まれない環境へとあえて出ていこうとするのか?
それは、置かれた環境に対する不満や危機感がないと人は大きく成長できないということを、彼らは知っているからです。
恵まれた環境下では人はその潜在能力を発揮することができないという、「人間の限界」を経験的に理解しているんです。
「現状に不満や危機感があった方が、人はハイスピードで成長できる」ことはすでに歴史が証明しているし、いわゆる「一流」や「成功者」と呼ばれる自己成長の達人たちは、そのことをよく理解しているからこそ、「不満や危機感」を過度に嫌わず、むしろ上手に利用しているのだということ。
そしてそこからわかるのは、もしあなたが今の現状にストレスを感じているのであれば、それは、あなたがこれから大きく成長・変化していける合図だということです。
私が自分の通帳残高に「強い不満や危機感」を感じてお金の勉強を始めたように(笑)、現状をどうにかしたいという強い思いは、人生を変える大きな原動力となります。
「食料確保が難しい」という生物としての強い不満と危機感から、西欧諸国が強くなっていったように、人の満たされない気持ちは、進化・発展の大きな力になります。
まとめ ストレスをプラスエネルギーに転換する方法
とはいえ、ただ現状を嘆き続けるだけで、何も行動を起こさなければ、何も変化は起きません。
そんな時、ストレスが私たちに良い影響をもたらすことはなく、私たちを苦しめる「単なる悪いもの」になってしまいます。
けれど「不満や憤り、悔しさ」といったストレスを、行動への原動力というプラスエネルギーに転換するならば、それらはあなたの人生に大きな変化を起こしてくれる非常に強い味方となります。
そして変化への行動が日々積み上がっていくことで、時間の経過と共にその差は非常に大きなものになっていくんです。
その威力は、歴史が証明する通りです。
今もし、あなたが現状に「不満や憤り」を感じているのなら、ぜひそれを変化を生み出す行動へのエネルギーへとプラス転換していってあげてください。
最後に、ストレスの持つエネルギーがプラスに発揮される時とマイナスに発揮される時の違いを、簡単にまとめておきますね。
- 変化を生み出す(現状打破)行動への原動力となった時のみ、ストレスはそのメリットを発揮することができます。
- 何も行動を起こさず、ただ現状の不快さを我慢し続けること(現状維持)を選んだ時、ストレスはあなたの心身を摩耗させる恐ろしい敵となります。
ぜひ何か本当に小さな一歩でいいので、変化を生み出す行動をしてみてください。
この負から正へのエネルギー転換を行うことで、人生は急ピッチで変わり始めますし、同時にストレスに対する見方や反応が、ものすごく軽やかになってくるんです。
ほんと、やらない理由がないというくらい最強のストレス解消法になりますので、ぜひ何か一つ「人生に変化をもたらす行動」を今日からでも取り入れてみてくださいね!
現状への不満や憤りが大きければ大きいほど、それらはきっと、あなたの人生に大きな変化や飛躍を生み出してくれる起爆剤となるはずです。